見てもらっていた記憶

先日、認知症の母に電話したら、開口一番、

「おかあさんね、すっごく食べたいものがあるの！」

って言うんです。

 

私「そうなんだ。何が食べたいの？」

母「もう、食べたくて食べたくて、一昨日からずっと食べたいの！」

私「買って行ってあげるから、何が食べたいの？」

母「えーとえーと、何だったかな～。えーとえーと」

 

結局、すっごく食べたいことは、よくわかりましたが、何が食べたいのかは、わからなかった池尾千里です、はい、こんにちは。

 

その後、母からは、食べたいものの話は、まったく出ないので、忘れちゃったみたいです。

何だったんだろう。

 

さて、今日は、お盆に３日間だけ、母校（神戸メンタルサービス）のセミナーに参加してきました。以前は、ゴールデンウィークとお盆に、毎年行われていたロングセミナーですが、５年ぶりくらいの現地開催だったんですよね。

 

今日は、その時思ったことを書いてみようと思います。

おつきあいいただけたらと思います。

 

会えなかった頃のオンライン

 

コロナの時期があって、何年も人に会えなかったり、イベントが開催されなかったりしていましたよね。

そのかわり、zoomなんていう便利なものが使えるようになり、オンラインで人に会うということが、できるようになりました。

 

開催ができなくなっていたセミナーなどのイベントも、オンラインでの開催が始まった時には、本当に感激したものです。顔をちゃんと見られるだけで、心って、まるで、その人に、実際に会ったような感覚になるんだって思いました。

 

そんなオンラインで救われた時期があって、オンラインが日常にあるようになりました。リモートでお仕事とか、みんなしてるもんね。

私も、離れたところのクライアントさんに、面談カウンセリングを受けていただけるようになりましたしね。

 

オンライン化が、コロナのおかげで、５年分くらい加速して実現したって言ってる方がいらしたけど、５年分ってすごいですよね。必要に迫られたからですよね。

 

触れられる距離

 

オンラインで、つながる（ジョイニング）セミナーを、池尾家でやらせてもらったりしているので、つながることは、オンラインでも可能なんですよね。しっかりつながれる。

 

でも、触れることができないから、ハグできない。

 

今回、現地開催のセミナーに出て、当たり前だけど、ハグできたり、目の前にいる方のぬくもりや、涙の温度を感じることができたのは、素敵なことでした。言葉が要らないことがいっぱいあったな。

 

触れるというのは、言葉の要らないコミュニケーションのひとつなんですね。

 

もちろんやみくもに触れるわけにはいきませんが、たとえば、お友だちの背中をさすったり、手を取ったり、パートナーとハグをしたり、子どものアタマをなでなでしてあげたりすることで、伝え合える、行き交うものがあるなぁと、実感していました。

 

でも、どうして人は、「だいじょうぶ？」って心配して、声をかける時、背中をさするといいって、わかるんでしょうね。ハートの裏側だって、うちの先生が言ってたけど、どうして知ってるんだろう。

 

教えてもらったわけでもないのに。

 

変わらぬ、つながりのおかげで

 

さきほども申し上げましたが、オンラインで、お顔を見ているとお会いしたような気になっているので、なかな気づけないのですが、実は、数年ぶりに直接お会いした方が、たっくさんいらしたんです。

コロナよりも前から、ご無沙汰してしまっていた方もたくさん。

 

でも、変わらぬ、つながりを感じさせてもらいました。

ついこないだ会った、みたいな感覚がよみがえって、私に向けてくださる笑顔も、声も、あぁ、あの時のままだって、離れていた時間が、一瞬でつながって、もとどおり！みたいな。

心って、物理的な距離や時間がないんですよ。

 

楽しいことはあっというまだし、おかあさんの説教は永遠かと感じる、みたいな。

変わらぬ、つながりが、距離も時間も、一気に飛び越えさせてくれました。

 

昔からのお知り合いも、オンラインでお会いしただけの方も、距離と時間をすっとばして、私と出会ってくださいました。うれしかったなぁ。

 

変わらぬ、フレンドリーな、おもしろ楽しいみなさんたち、本当にありがとうございました。

 

こうして見てもらっていた記憶

 

セミナーの会場は、広くって、椅子に掛けている受講生さんがいて、その周りで、見守ったり、背中をさすってあげたり、優しく声をかけてあげたりしている、アシスタントさんたちがいます。

 

遠くから駆け寄って、ハグしてあげてるのも見たし、一緒に悲しんであげてるのも見ました。お話をじっくり聞いてあげている人もいたし、笑い合ってる人もいました。

 

今回のセミナーには、現地開催のセミナーが初めて、という方がたくさんいらして、みなさん、初めての体験に緊張されたり、びっくりされたりしてらしたんですけど、ふと、あぁ、私もこうやって、いろんな方の手で、助けてもらいながら、ここまで来たんだったなって、気がついたんです。

 

私は、自分のことで精一杯だった時も、見ていてくれた方がいたんだなって。

セミナーだけでなく、どこにいる時にも、きっと、たくさんの方に見てもらっていたんだなって。

 

昔々、広いセミナー会場で、ひとりぼっちで泣いていた私の背中に、そっとあたたかい手を置いてくれた人がいました。振り返ると、にこっと笑ったその人の手のひらで、つめたく冷えたハートが、ほわっと解れていきました。

 

思い出して、感謝があふれてきました。

 

教えてもらっていなくても、そんな体験があって、ちゃーんと記憶に刻まれていて、してもらったように、してあげられるのかもしれません。

 

これもまた、素敵なことですよね。

私にとっての、2024年夏の大イベントでした。

 

お会いできたみなさん、ありがとうございました。嬉しかったです。

また、どこかで会えますように。

 

 

池尾千里

 

 

池尾千里や、池尾家の動画リストです。

よろしかったら、ご覧になってみてくださいね。

 

 

 

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